包皮切除(割礼)とは、陰茎の包皮を取り除くことです。HIV感染リスクが変わる場面と変わらない場面があるため、誰を守るのかを正確に知っておくことが大切です。

臨床試験でわかったこと

ランダム化比較試験では、包皮切除を受けた男性は受けていない男性に比べて、膣性交でHIVに感染する可能性がずっと低く、リスクはおおむね半分かそれ以下になりました。世界保健機関(WHO)は、包皮切除を男性がHIV感染リスクを下げる方法の1つに挙げています。計算ツールでは、包皮切除を受けている男性が挿入する側の場合、推定値を50%下げます。

HIV陽性で治療を受けていない女性と膣性交をする男性の場合、1回あたりの推定リスクは、包皮切除を受けていなければ0.04%(約2,500分の1)、受けていれば0.02%(約5,000分の1)です。

相手のHIVの状態がわからない場合、数値は低くなりますが、効果は同じです。たとえば南アフリカでは、1回の行為の推定値は、包皮切除を受けていない場合は0.0023%(約44,000分の1)、受けている場合は0.0011%(約89,000分の1)です。

包皮切除にできないこと

  • 完全な予防ではありません。包皮切除を受けた男性でも、HIVに感染することがあります。コンドーム、曝露前予防(PrEP)、相手が有効な治療を受けていることによって、はるかに大きな予防効果が加わります。
  • HIV陽性の男性の相手を守るものではありません。すでにHIV陽性だった男性が包皮切除を受けた試験では、女性パートナーへのHIVの感染は減りませんでした。
  • 挿入される側を直接守るものではありません。挿入される側の場合に重要なのは、相手が包皮切除を受けているかどうかではなく、相手がHIV陽性かどうかです。
  • PEPの代わりにはなりません。最近曝露があった場合、包皮切除を受けていることは、曝露後予防(PEP)を見送る理由にはなりません。

男性と性行為をする男性

ゲイ・バイセクシュアル男性など、男性と性行為をする男性については、根拠はそれほどはっきりしていません。コクランのレビューでは、アナルセックスで主に挿入する側になる男性は、包皮切除によって守られる可能性があるとされました。しかし、男性と性行為をする男性のHIV予防で包皮切除が全体としてどのような役割を果たすかは、まだはっきりしていません。この集団でHIV予防のために包皮切除を推奨できるだけの根拠はありません。

アナルセックスで挿入される側のリスクは群を抜いて高く、包皮切除はそれを変えません。ここで効果があるのは、PrEP、コンドーム、そして相手のウイルス量が検出限界値未満であることです。ゲイ・バイセクシュアル男性のHIV感染リスクをご覧ください。

相手が包皮切除を受けていると、リスクは下がりますか?

場合によっては下がりますが、しくみは異なります。HIVが主に男女間の性行為で広がっている国では、包皮切除を受けた男性は、包皮切除による予防効果があったため、そもそもHIV陽性である可能性が低くなります。計算ツールでは、HIV陽性かどうかわからない男性の相手が包皮切除を受けている場合、受けていない男性に比べてHIV陽性である可能性を約50%低いものとして扱い、国ごとの包皮切除の普及度に応じて調整しています。この調整は、男性と性行為をする男性には適用しません。

南アフリカで、HIV陽性かどうかわからない男性と1回膣性交をした女性の場合、推定値は相手が包皮切除を受けていなければ0.0029%(約34,000分の1)、受けていれば0.0015%(約68,000分の1)です。

これは、相手がHIV陽性である可能性を変えるだけです。包皮切除を受けた男性が実際にHIV陽性であれば、包皮切除によってHIVをうつす可能性が低くなることはありません。

今すべきこと

72時間以内に、HIV陽性の相手またはHIVの状態がわからない相手と、コンドームなしの性行為がありましたか?包皮切除を受けていても、PEPの代わりにはなりません。今すぐPEPについて相談してください。PEPは72時間以内に始める必要があり、できれば24時間以内が理想です。PEPの受け方をご覧ください。

  • 感染の可能性がある行為のあとは、適切な時期に検査を受けてください。週ごとのHIV検査の正確さをご覧ください。
  • 新しい相手やHIVの状態がわからない相手とは、コンドームを使ってください。リスクを約80%下げます。
  • 曝露の機会が多い場合は、PrEPを検討してください。包皮切除を受けているかどうかにかかわらず、身を守れます。PEP、PrEP、U=Uをお読みください。
  • HIV予防のために包皮切除を考えていますか?医師とよく相談してください。包皮切除は膣性交をする男性にとって予防策の1つであり、ほかの予防策の代わりにはなりません。