曝露前予防(PrEP)は、HIVに感染していない人が、曝露したときにHIVが体内に定着するのを防ぐために使う薬です。最も効果的な予防手段のひとつですが、どれだけ効果があるかは、指示どおりに服用するかどうかで決まります。
PrEPの効果
米国疾病予防管理センター(CDC)の推定では、男性と性行為をする男性が毎日服用した場合、PrEPは性行為によるHIV感染リスクを約99%下げます。異性間の性行為をする男性と女性については、CDCの数値はこれより低く、最近の服用状況に基づいて約90%です。注射による薬物使用のリスクは、PrEPによって少なくとも74%下がります。計算ツールでは、アナルセックスとオーラルセックスには前者の数値を、膣性交には後者の数値を使っています。
具体的に、最もリスクの高い性行為である、HIV陽性で治療を受けていない相手とのアナルセックスで挿入される側の場合を見てみましょう。PrEPなしでは、1回あたりの推定リスクは1.4%(約72分の1)です。PrEPを規則的に服用していれば、0.014%(約7,200分の1)まで下がります。HIV陽性の男性と膣性交をする女性の場合は、0.08%(約1,200分の1)から0.008%(約12,000分の1)に下がります。膣性交に対するPrEPの推定効果は低いため、下がり幅はこれより小さくなります。
飲み忘れが影響する理由
PrEPは、曝露したときに体内に十分な量の薬があって初めて効果を発揮します。CDCははっきりとこう述べています。PrEPの効果を得るには、指示どおりに服用する必要があります。
計算ツールでは、HIV陽性の相手とのアナルセックスで挿入される側という同じ行為について、3つの段階を使っています。
- 規則的に服用:0.014%(約7,200分の1)
- おおむね規則的で、数回の飲み忘れあり:0.14%(約720分の1)
- 不規則に服用:0.69%(約140分の1)
膣性交で挿入される側の場合、同じ3つの段階でそれぞれ0.008%(約12,000分の1)、0.02%(約5,000分の1)、0.048%(約2,100分の1)になります。
このうち中間と下の段階は、計算ツールが置いている仮定であり、正確な測定値ではありません。ただし、傾向ははっきりしています。飲み忘れが多いほど、予防効果は下がります。
何回か飲み忘れがあり、感染の可能性がある行為があった場合は、すぐに医師に連絡してください。曝露後予防(PEP)が必要かどうかを判断してもらえます。PEPは72時間以内に始める必要があります。
予防効果が出始める時期
飲み始めてすぐに予防効果が得られるわけではありません。CDCによると、PrEPの錠剤を毎日服用した場合、最大の予防効果に達するまでに、アナルセックスで挿入される側では約7日、膣性交で挿入される側と注射による薬物使用では約21日かかります。注射のPrEPの場合、効果が出るまでの期間は注射薬の種類によって異なります。
PrEPを始める前には、すでにHIVに感染していないことを確かめるため、HIV検査を受ける必要があります。
PrEPの効果が十分になる前、またはPrEPをやめたあとに、感染の可能性がある行為がありましたか?医師にPEPについて相談してください。PEPは72時間以内に始める必要があり、できれば24時間以内が理想です。詳しくはPEPの受け方をご覧ください。
PrEPの選択肢
- 毎日飲む錠剤:最も広く使われている方法です。
- オンデマンドで飲む錠剤:性行為の前後に服用します。男性と性行為をする男性の一部で選択肢になります。正確な飲み方は医師が説明します。
- 長時間作用型の注射薬:医師が決まった間隔で注射します。
PEPを飲み終えたばかりで今後も曝露が予想される場合、CDCのガイドラインは、PEPの服用終了時にHIV検査を受けたうえで、間を空けずにそのままPrEPに切り替えることを認めています。
PrEPの中止と再開
CDCは、PrEPをやめようと考えている場合は医療機関に相談するよう勧めています。そうすれば安全にやめる計画を立てられ、状況が変わったときにも予防を続けられます。あとで再開したい場合は、最初に始めたときと同じように、まずもう一度HIV検査を受ける必要があります。
PrEPはほかの性感染症を防げません
CDCは、PrEPはHIVに感染する可能性を下げるものの、ほかの性感染症や妊娠は防げないとはっきり述べています。クラミジア、淋菌感染症、梅毒は、引き続き相手との間でうつる可能性があります。また、ほかの性感染症があると、HIV感染リスクは約2倍になります(計算ツールでは2倍として計算しています)。
コンドームはほかの多くの性感染症の予防に役立ちます。また、PrEPの定期受診のときに性感染症の検査を頼むこともできます。詳しくはHIVとほかの性感染症をご覧ください。
定期的な受診
PrEPを使っている間は、HIV検査と処方の更新、または注射のために定期的に受診するよう、CDCは勧めています。定期受診によって、問題を早く見つけられます。まれに検査結果が陽性になった場合は、陽性の結果が出たらをご覧ください。
今すべきこと
- PrEPを指示どおりに服用していますか?性行為によるリスクは非常に低い状態です。服用と定期受診を続けてください。
- 飲み忘れがあり、最近曝露がありましたか?今すぐ医師にPEPについて相談してください。期限は72時間です。
- 飲み始めたばかりですか?予防効果が十分になるまでには時間がかかります。それまでの間は、できればコンドームを使ってください。
- やめようと考えていますか?まず医師と一緒に計画を立ててください。
- まだPrEPを使っていませんか?PrEPとPEPについて読み、自分に合うかどうか性感染症クリニックに相談してください。